解説
乳房のMR像(別冊No. 1)を別に示す。
この画像で正しいのはどれか。
1.T1強調像である。
誤りです。
腫瘍の周囲(炎症と浮腫成分)と脊髄液が白く描出されているので、T2強調画像です。
2.位相方向は前後方向である。
誤りです。
拍動アーチファクトは位相方向に現れます。心臓からの拍動アーチファクトを見てみると左右方向に出現していることがわかります。

3.脂肪抑制法が併用されている。
正解です。
乳房や皮下脂肪を見ると黒く(低信号)に描出されています。つまり、脂肪抑制併用画像であることが分かります。

4.右乳房腫瘤は骨格筋と比較し低信号である。
誤りです。
右乳房腫瘤は白色(高信号)で、骨格筋(例えば、背中の筋肉:矢印)は黒色(低信号)であるため、右乳房腫瘤の方が高信号と言えます。

5.大動脈の内腔は高信号として描出されている。
誤りです。
大動脈は黒色なので低信号になります。

ここがポイント!!
- T1、T2強調画像の特徴
組織または成分 | T1強調画像 | T2強調画像 |
---|---|---|
脂肪 | 高信号(白く明るく見える) | 中〜高信号(灰〜明るい) |
水(脊髄液) | 低信号(暗く見える) | 高信号(明るく見える) |
筋肉 | 中信号(灰色) | 中信号(灰色) |
炎症や浮腫(腫瘍の周囲) | 低信号(暗く見える) | 高信号(明るく見える) |
- 位相方向と拍動アーチファクト
項目 | 説明 |
---|---|
位相方向の確認方法 | 拍動アーチファクト(規則的なゴースト像)の方向を見る |
拍動アーチファクトの原因 | 動脈の拍動や周期的な体内の動き |
- 脂肪抑制併用画像かどうかの見極め方
項目 | 説明 |
---|---|
脂肪抑制併用画像の特徴 | 乳房や皮下脂肪の信号が黒色(低信号)になる |
確認のポイント | 脂肪組織が明瞭に低信号かどうかを観察 |
目的 | 腫瘍や病変のコントラストを高め、診断精度を向上させる |
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