解説
急性期脳梗塞の頭部MRIのFLAIR像(別冊No. 4A)及び拡散強調像(別冊No. 4B)を別に示す。
病変の部位はどれか。
1.視床
正解です。
視床は、脳の中心部に位置する「感覚の中継ステーション」のような役割を持っています。
目や耳、皮膚などから入ってくる情報は、まず視床に集められ、そこから脳の各担当領域へと送られます。視覚、聴覚、触覚などの感覚を整理し、適切な場所に届ける働きをしています。また、運動の調整や感情の制御、自律神経の働きにも関与しています。
そのため、視床の機能に障害があると、感覚が正しく伝わらなかったり、運動がぎこちなくなったりすることがあります。
2.中脳
誤りです。
中脳は、脳幹の一部で、大脳と脊髄、小脳をつなぐ重要な通り道です。位置としては、間脳と橋の間にあり、脳幹の中でも最も上にあります。
中脳には、視覚や聴覚の情報を処理する中枢があり、目に光が入ったときの反射(対光反射)や、音の情報を脳へ届ける働きを担っています。また、眼球の動きや姿勢の調整にも関与しており、体のバランスを保つためにも欠かせない部分です。
3.被殻
誤りです。
被殻は、大脳基底核の一部で、運動の調整や姿勢の制御に深く関わっている重要な脳の構造です。
被殻は脳出血が起こりやすい部位としても知られており、「被殻出血」は脳出血の中でも最も頻度が高いタイプです。
4.小脳虫部
誤りです。
小脳虫部は、小脳の中央に位置し、左右の小脳半球に挟まれた部分です。この部位は、体幹の動きの調節や姿勢の維持、歩行の安定などに重要な役割を果たしています。
5.内包前脚
誤りです。
内包前脚は、大脳の深部にある「内包」と呼ばれる神経線維の束の前方部分です。尾状核の頭部とレンズ核(被殻など)の間に位置しており、前頭葉と脳幹の橋をつなぐ前頭橋線維が通っています。
ここがポイント!!
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